地域医療構想策定ガイドラインに基づき今の入院患者を分析

病床の機能別分類の境界点(C1~C3)その考え方と注意すべき点

 地域医療構想が策定されたことに伴い、その対応として各医療機関で実施可能な分析をご紹介します。

 各都道府県では、今後、構想区域(原則としては二次医療圏)ごとに「2025年の医療需要および必要病床数」が推計されることになります。推計に当たっては、その構想区域内の実際の患者データ(レセプトデータ、DPCデータ等)が使用され、1日当たりの入院患者数が地域でどれほどいて、将来的にどれくらい増える、あるいは減るのかということが算出されます。重要なのは、これらの推計が、医療機能(高度急性期・急性期・回復期・慢性期)ごとに行われることです。それら医療機能の境界点は、患者に対する「1日当たりの医療資源投入量」の多寡によって決められることになっています(図表1参照)。実際に行われた診療行為を、診療報酬の出来高点数で換算したとき、「3,000点(C1)」以上の患者は高度急性期、「600点(C2)」以上は急性期、「225点(C3)」以上は回復期、C3未満の患者は慢性期および在宅医療等として区分されます(ここでの出来高点数は、入院基本料相当分・リハビリテーション料の一部を除いた点数)。なお、C3については在宅復帰に向けた調整を要する幅を見込むこととし、実際には175 点で推計されることになりました。

 上記のような方法で、各構想区域の医療機能ごとの医療需要および必要病床数が今後推計されることになります。これらは、地域単位というマクロな視点の話ですが、各医療機関においても今の入院患者について機能別に見た実態を把握しておくことが重要と考えます。そこで、ある病院(A病院)の一般病棟の患者を対象に、1日当たり医療資源投入量にもとづいて各医療機能に相当する患者数を試算した結果をご紹介したいと思います。

A病院一般病棟における機能別患者数の試算例

 図表2は、A病院の一般病棟の患者について、1日当たりの出来高点数をもとに「高度急性期」、「急性期」、「回復期」、「慢性期・在宅」に相当する患者数を算出したものです。A病院では、高度急性期に相当する患者が全体の12.3%、同様に、急性期が45.7%、回復期が24.8%、慢性期・在宅が17.2%という構成比となっていました。A病院では、一般病棟の入院患者の約4割が回復期あるいは慢性期・在宅相当の患者ということになります。今のところ、上記のような患者を一般病棟で診ていても問題はありませんが、近い将来、これらの患者は一般病棟ではなく、回復期リハ病棟や地域包括ケア病棟などに移行するよう診療報酬上の誘導がなされることが予想されます。そのような事態を見越して、A病院では今から何らかの対策を打っていく必要があると思われます。

 そこで、さきほどの医療機能ごとの患者数試算を、もう少し別な角度から、さらなる分析を行ってみました。図表3は、上記の一般病棟の患者について、「曜日」別に各医療機能の患者数を算出したものです。この結果を見ますと、平日(月~金)は、高度急性期の患者が全体の15%前後、急性期が50%前後を占めている一方で、土日になると高度急性期が約6%、急性期が約32%となり、平日に比べて低迷しています。土日では、手術や検査などの実施が少なくなるために、1日当たりの出来高点数が低くなり、高度急性期や急性期に該当する患者が少なくなると考えられます。

 A病院では、リハビリの実施も平日と比べて土日では少ない傾向にあったため、仮に、A病院でリハビリ職員をさらに補強し、一般病棟においても土日のリハビリ実施を徹底するようにした場合、今の回復期あるいは慢性期・在宅相当の患者の一部が、急性期相当へと機能が変わる可能性があります。

 2015年度の診療報酬改定がどのようなものになるか注視しながら、上記のような分析を通じて、今の入院患者の実態を把握することが重要と考えます。

図表1 病床の機能別分類の境界点(C1~C3)の考え方

図表1 病床の機能別分類の境界点(C1~C3)の考え方

出所:第9回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会資料「2025年の医療需要と各医療機能の必要量の推計方法(案)」を基に作成


図表2 A病院の一般病棟の機能別患者数の試算

図表2 A病院の一般病棟の機能別患者数の試算

※入院基本料、食事療養費を除く単価
出所:DPCデータ(EFファイル)を基に作成


図表3 A病院の一般病棟の機能別患者数の試算(曜日別)

図表3 A病院の一般病棟の機能別患者数の試算(曜日別)

出所:DPCデータ(EFファイル)を基に作成